離婚後に親権変更を請求されたがこれを排斥した事例
離婚後に親権変更を請求されたがこれを排斥した事例

離婚後に親権変更を請求されたがこれを排斥した事例

親権者の変更

父母が離婚するときは、その一方を親権者と定めますが(民法819条1項)、事情の変更が生じて、親権者を変更する必要があると裁判所が認めた場合、母(または父)に変更することができます(民法819条6項)。

本来は、親権者となった父(または母)が病気やケガで監護養育が困難となった場合や、暴力や育児放棄をしているなど監護養育が不適切である場合に認められるものですが、実務上は、離婚時にあまり深く考えず親権を渡してしまったが、後になって後悔し、変更を請求するという例が少なくありません。

当事務所で扱った次の事例も、協議離婚した母(申立人)が、離婚原因を作ったのは自分であるという負い目があったためやむを得ず親権者を父としたが、子らは父と暮らすことを望んでいないなどと主張して、父(相手方)に対し親権者の変更を求めてきた事案です。

この事案では、母が調停申立てと同時に、子らを連れ去ってしまうという事件もありましたが、父が連れ去られた後すぐに当事務所に相談していただいたため、迅速に子らの引き渡しを実現することができ、その後の調手続きでも、父による子らの監護状況に何ら問題がないこと等を詳細に主張立証することで、母の主張を全面的に排斥し、依頼者である父の希望通りの結論を収めることができました。

平成29年(家イ9)第5号,同7号,同8号 親権者変更調停事件(津家庭裁判所四日市支部)

(中略)

主文

1 未成年者A,B及びCの親権者を、いずれも相手方(父)から申立人(母)に変更しない。

2 調停費用は各自の負担とする。

理由

(中略)

3 当庁家庭裁判所調査官による平成30年1月11日付け調査報告書によれば,相手方及び未成年者らが前住所地に居住していた期間において,相手方が同居する申立人の父母と未成年者らとの交流を制限するなどの問題が散見されることが指摘されているものの,相手方による未成年者らの監護状況に大きな問題があるとの指摘はなく,未成年者らの心情等を踏まえても,未成年者らの親権者を相手方から申立人に変更すべき事情はうかがわれないとの意見が示されている。

4 当庁家庭裁判所調査官による平成30年9月20日付け調査報告書によれば,相手方及び未成年者らが現住所地に転居した後の期間において,相手方による未成年者らの監護状況に特段の問題は見られないこと,申立人の予定する監護態勢が現状より明らかに優れているとは評価し難いこと,長女が現状維持を望む意向を示していることなどがらすると,未成年者らの親権者を相手方から申立人に変更すべき事情は認められないとの意見が示されている。ただし,今後,当事者双方が未成年者らを紛争に巻き込まないように配慮し,申立人と未成年者らの面会交流が可能となるような環境を整えていく必要があるとの指摘もされている。

5 上記3及び4の各調査報告書において示された意見に照らせば,申立人の指摘する事情を踏まえても,現時点において,未成年者らの親潅者を相手方から申立人に変更すべき事情があるとは認め難い。

6 したがって、当裁判所は,当調停委員会を組織する家事調停委員の,意見を聴いて,家事事件手続法284条により,主文のとおり調停に代わる審判をする。

(以上)

当事務所では、離婚や親権といった家族間の紛争につき、経験豊富な弁護士が丁寧かつ迅速に対応いたします。

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