裁判所の定める標準算定表は、子どもが3人の場合までしか書かれていません。では、子どもが4人以上いる場合や、義務者も子どもと同居している場合などはどうしたらいいか、が問題となります。
少し細かい話になりますが、標準算定表は、標準算定方式という計算方法によって成り立っています。標準算定方式とは、
①まず、婚姻費用を請求する側(権利者)、婚姻費用を支払う側(義務者)の総収入に、基礎収入割合(総収入のうち公租公課、職業費、特別経費が占める割合を1から控除した割合)を掛けて、基礎収入を算出します。
②次に、権利者と子どもの生活に充てられるべき生活費の割合を、親を100、14歳以下の子どもは62、15歳以上の子どもは85という指数を使って求めます。
③そして、①で算定した基礎収入に②の割合を乗じて、権利者と子どもの生活に充てられるべき生活費を計算します。
④最後に、③で得た金額から、権利者の基礎収入を引き、義務者が支払うべき婚姻費用の額を算定します。
たとえば、15歳と11歳の子どもが二人いる夫婦で、夫の年収が600万円、妻の年収が100万円の場合、妻が子ども二人を連れて別居し、夫に対して婚姻費用を請求した場合は、
①妻の基礎収入は100万円×0.50=50万円、夫の基礎収入は600万円×0.41=246万円で、合計296万円となります。
②夫の生活費指数100、妻の生活費指数100、子どもの生活費指数が85と62ですから、
妻と子ども二人の生活費割合は100+85+62=247、
世帯全体の生活費指数は、247に夫100を加えて347となり、
妻と子どもの生活に充てられるべき生活費の割合は247/347となります。
③①に②を乗じると、母と子どもの生活に充てられるべき生活費の額は、296万円×247/347=210万6974円
④③から母の基礎収入50万円を引くと、夫が支払うべき婚姻費用は160万6974円、月額は13万3915円となります。
実際に、裁判所の定める標準算定表【表14】で確かめてみると、夫の収入600万円、妻の収入100万円の場合は月額12万円~14万円(の上のほう)になっています。標準算定表は、このような標準算定方式に基づいて作成されているわけです。ですから、標準算定表に当てはまらない場合でも、この標準算定方式に立ち返って計算すれば、婚姻費用の額を計算することができるわけです。
たとえば、子どもが4人以上いる場合は、子どもの生活費指数を加えれば計算できますし、義務者も子どもと暮らしている場合は、義務者の生活費指数を修正することで計算できます。
また、年収が2000万円(自営業の場合は1567万円)を超える場合の婚姻費用も、基本的には標準算定方式に基づいて計算することができますが、この場合は基礎収入割合をどうするか等でいくつか考え方が分かれていますので、詳しくは弁護士に相談することをお勧めします。
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