生活費がもらえない
生活費がもらえない

生活費がもらえない

婚姻費用分担義務

夫婦は婚姻中に必要となる生活費を互いに分担する義務があります(民法760条)。これは夫婦が別居していても同じです。

別居したいが別居後の生活が不安で踏み切れないという場合、婚姻費用はとても大きな支えになります。また、婚姻費用を請求することでその後の離婚協議も有利に進められる可能性が高くなります。

他方、すでに別居しているが生活費をもらっていないとか、同居していてもごくわずかしかもらっていないという場合は、すぐに請求手続きをとるべきといえます。

婚姻費用の額

婚姻費用の額は、基本的には子どもの人数と年齢、夫婦それぞれの年収(税引き前の総支給額)によって決まります。家庭裁判所の定める標準算定表の中から子どもの人数と年齢に適合する表を探し、そこに夫婦それぞれの年収を当てはめると、おおよその金額が分かるようになっています。

たとえば、15歳と11歳の子どもが二人いる夫婦で、夫の年収が600万円、妻の年収が100万円の場合、【表14】の【婚姻費用・子2人表(第1子15~19歳,第2子0~14歳)】を探し、夫の年収600万円を縦軸の【義務者の年収】に、妻の年収100万円を横軸の【権利者の年収】にそれぞれ当てはめて、両者の交わる個所を見ると【12~14万円】となっていますので、この場合は、夫が妻に婚姻費用として月額12万円~14万円を支払うことになります。

ただし、家賃や水道光熱費などを払っている場合、その分はすでに払ったものとみなされ、上記金額から控除されます。

また、夫が住宅ローンを支払っている場合や、自営業者の場合など、単純に算定表に当てはめることが難しい場合もありますので、詳しくは弁護士にご相談ください。

【参考】算定表に当てはまらない場合の養育費・婚姻費用

婚姻費用の始期

婚姻費用はいつから支払ってもらえるのでしょうか。これは原則として請求したときから、となります。

したがって、別居後に婚姻費用を請求しないまま数か月あるいは数年が過ぎてしまったとか、今まで少ない婚姻費用しかもらってこなかったという場合でも、足りなかった分を過去にさかのぼって請求することはできません。このような場合はすぐに請求の手続きをする必要があります。

LINEやメールで請求する場合は、請求した日付がわかるようにスクリーンショットなどを保存しておきましょう。手紙の場合は、内容証明郵便で送るとよいでしょう。

婚姻費用をもらうための手続き

まずは夫婦で話し合うのが原則ですが、生活費がもらえないということはかなり夫婦関係が悪化している場合でしょうから、無理に話し合うことは避け、弁護士に依頼するか、裁判所に調停を申し立てたほうが良いでしょう。

調停では、上記算定表に基づいて婚姻費用の額を算定してくれます。その額で双方が納得すれば調停成立となりますが、一方あるいは双方が納得しない場合は、審判に移行し、裁判所が金額を決定します。

おわりに

このように、婚姻費用は別居後の生活の不安を解消し、また離婚協議を有利に進めるうえでとても大きな支えとなるものですが、他方で、支払う側にとっては重い負担となります。そのため、ときには収入を隠したり偽ったりして、婚姻費用の額を下げようとする義務者も少なくありません。このような場合は、十分な証拠集めと説得的な主張が不可欠となります。

【参考】相手の収入が不自然に低い場合の養育費・婚姻費用

【参考】相手の収入が不自然に低い場合の養育費・婚姻費用(2)

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